開発のヒント

リセット、クロック、電源制御

ワイヤレスSoC STM32WxシリーズのHSEについて

無線機能を内蔵したSTM32Wxシリーズは、内蔵無線機能を動かすためのクロックが必要で、STM32WBやSTM32WLシリーズの場合、32MHzのクロックが必要です。
この無線機能に必要なクロックは、非常に高い周波数精度、温度特性が必要で、内部のHSIやMSI、それらのクロック・ソースを使ったPLLで作られたクロックでは、仕様を満たさないことがほとんどです。

一例として、Bluetooth Low Energyの規格では、2.4GHzの無線周波数を使いますが、そのクロック精度は+/-50ppmです。
また、各国の無線機に求められる周波数精度の仕様に依存し、日本における920MHz帯の無線通信の場合、+/-20ppmの精度を求められ、これらの無線周波数は、接続したクロック・ソースの精度に依存します。

その結果、内蔵の無線機能を使用する場合、HSEの使用が必須になります。

このように、無線方式や変調方式、各国の無線機に求められる認証制度に合わせて、使用するHSEクロック・ソースを選択しなければなりません。

STM32Wxシリーズでは、高い精度でのHSEクロックのキャリブレーションが可能で、シリーズによっては水晶発振子を使う場合に必要な、外部のセラミック・キャパシタの誤差を調整する可変キャパシタを内蔵しており、より精度の高い発振ができるような工夫があります。

詳しくは、各STM32Wxシリーズのリファレンス・マニュアルとデータシート、また、以下のアプリケーション・ノートをご確認ください。
AN5042:How to calibrate the HSE clock for RF applications on STM32 wireless MCUs
AN2867:Oscillator design guide for STM32 microcontrollers
また、キャリブレーションに使用可能な以下のソフトウェア・パッケージをご用意しております。
X-CUBE-CLKTRIM

過去の開発のヒントはこちら