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STM32CubeProgrammer & STM32CubeMonitor:STM32マイコンの生産性を高めるには

STM32CubeMonitor

STM32CubeMonitorとは

・マイクロコントローラの中を可視化するツール
STM32CubeMonitorは、リモート接続用のウェブ・インタフェースとカスタム・ダッシュボードを作成するためのGUIを備えたランタイム変数モニタリングおよび可視化ツールです。このツールにより、開発者は、Node-REDを利用するGUIを通じてアプリケーションを効率的にモニタリングできます。このフロー・ベースのプログラミング・ツールにより、コーディング一切なしで複雑なデータ表現を作成できます。そのため、ソフトウェアを簡単にデバッグし、既存のコードベースを変更することなく動作を分析できます。さらに、ユーザはNode-REDおよびSTのコミュニティでダッシュボードを共有し、他のユーザの情報を基に構築を進められます。
STのWikiでは、初めてのSTM32CubeMonitorの体験をより直感的なものにするために、開発者がたった2ステップでアプリケーション内の変数をどうモニタリングできるかが詳しく説明されています。ユーザは、メモリ内で追跡するデータの開始アドレスとそのタイプを選択します。STは、このタスクに役立つ、ELFファイルからアドレスを取得する方法を説明したガイドを提供しています。次に、インタフェースとしてSTLINKプローブを選択します。

・Node-REDベースのランタイム・モニタリング・ユーティリティ

STM32CubeMonitor

レジスタ、メモリ割込みの変数、および特定の瞬間に発生する無数のイベントを継続的に追跡することは困難です。手動でのモニタリングは非常に要求が厳しいため、この作業に充てるリソースがチームにいないこともよくあります。STM32CubeMonitorはこの問題に解決策を提供し、Node-REDを利用して物事をできるだけシンプルに保ちます。一連のイベントを意味するフローを作成するには、キャンバスにプログラム要素のグラフィック表現をドラッグ・アンド・ドロップします。たとえば、条件を設定して、電子メールで警告を送信する、またはMQTTを使用してクラウド・プラットフォームにデータをプッシュするモジュールをトリガできます。
コードを1行も入力せずに、グラフの作成、プロットの描画、ゲージの生成を行い、カウンタ値、センサからのデータなどのアプリケーションの各種状況を可視化するために役立てることができます。また、ウェブ・サーバがあるため、ローカル・ネットワーク上またはリモートのいずれかで、可視化したものをPCまたはモバイル機器のブラウザで使用できます。さらに、Node-REDおよびSTのコミュニティにより、他のユーザのダッシュボードを参考にするだけで作業を開始でき、他の事例を学んで組織的に学習を進めることが可能です。

・製品のライフ・サイクルを通して利用できるサポート・ツール
試作段階でエンジニアは、現在提供されているSTLINK-V3モジュールなどのSTLINKプローブを使用できます。STLINKプローブは、STM32CubeMonitor Dashboardのセットアップに役立ち、ウェブ・インタフェースのゲートウェイとして機能するPCにマイクロコントローラ・ボードを接続します。最終製品の出荷準備が整うと、設計者はUARTを使用してUSBポートにデータを送信するソフトウェア・ルーチンも作成できます。こうして、開発者は、USBポートに接続されているSTM32CubeMonitorがインストールされたコンピュータを使用してアプリケーションを引き続きセキュアにモニタリングできます。つまり、STLINKプローブを使用して、アップグレードや今後の機能追加に役立つ長期的な分析が可能です。

STM32CubeMonitorの新機能

・Node-RED 1.3.7のサポート
STM32CubeMonitor 1.3.0(現時点で最新のバージョン1.3)は、NodeRED 1.3.7フレームワークを使用します。昨年4月にリリースされたバージョン1.3では、新しいプラグイン・フレームワークと関数ノードを自動的に実行する機能が導入されました。変更および切替えノードが更新され、可読性も改善されました。OpenJS Foundationは2022年にNode-REDの新バージョンを発表する予定です。STはSTM32CubeMonitorを引き続き更新し、プログラミング・ツールの統合に関する重要な変更点はSTのブログでお知らせします。

・新しい形式と記号変更通知
最新バージョンのSTM32CubeMonitorでは、独自形式を使用するだけではなく、CSV形式でデータをエクスポートする機能も導入されています。これにより、情報をExcel、MATLABなどにインポートできるようになり、データの最適化と操作性が強化されています。また、新しいソフトウェアは、記号変更時の通知も行い、ファイルにて変数を定義して記号と関連付けることにより変数を追跡できるようになります。ただし、コードをリコンパイルすると、記号を含むファイルが最新ではなくなり、Node-REDのダッシュボードと矛盾が生じることもあります。新しいSTM32CubeMonitorは、ユーザが記号を含むファイルを更新し忘れた場合に警告を発します。

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