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STマイクロエレクトロニクス、次世代スマート機器の性能およびセキュリティを強化するSTM32H5マイコンを発表

・Arm® Cortex®-M33コア内蔵(最大動作周波数250MHz)
・強力なセキュリティ実装を簡略化するSTM32Trust TEE Secure Manager搭載

2023年3月7日

多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、高性能の汎用32bitマイクロコントローラ(マイコン)「STM32H5シリーズ」を発表しました。同製品は、STM32Trust TEE Security Managerによる最先端のセキュリティを備え、スマートなIoT機器に最適です。

STM32H5シリーズは、Arm® Cortex®-M33コアを搭載し、高性能、優れたセキュリティ、高電力効率、低コストを兼ね備えています。マイコン・ベースのミッドレンジ・アプリケーションに最適な製品です。Cortex-M33を搭載した汎用32bitマイコンとして世界最高の性能を実現しており、最大250MHz、375DMIPSで動作し、業界標準のEEMBC CoreMark®において1023スコアを獲得しています。

STM32H5シリーズは、次世代IoT機器における大規模なイノベーションを加速させるように設計されています。IoTエッジにさらなるインテリジェンスを提供し、IoT機器やアセットへの攻撃に対するセキュリティ強化に貢献します。STM32H5シリーズには、Cortex-M33コアのArm TrustZone®アーキテクチャを中心に、STの認定パートナー企業であるProvenRun社とともに開発した各種セキュリティ機能が搭載されています。

STM32H5シリーズは、業界標準APIを介してアクセスできるシステム・オン・チップ(SoC)のセキュリティ・サービス「STM32Trust TEE Secure Manager」を搭載した初の製品です。これにより、開発者はコードを作成することなく、既存のベスト・プラクティスに従って開発されたセキュリティ・サービスを提供可能です。そのため、開発を簡略化しつつ、効果的なセキュリティを提供することができます。

STのマイクロコントローラ & デジタルICグループ 汎用マイクロコントローラ・サブグループ エグゼクティブ・バイスプレジデントであるRicardo De Sa Earpは、次のようにコメントしています。「STM32H5シリーズは、IoT化が進む世界において、ユーザやその資産、データのセキュリティを維持しつつ高度なサービスをサポートします。よりインテリジェントかつ安全で、持続可能な次世代のスマート・ホーム、スマート・ファクトリ、スマート・シティを実現する上で最適なマイコンになることを期待しています。」

STM32H5マイコンは、性能向上に伴う消費電力の増加という開発者の課題意識を解消するために、STの先進的な40nm CMOSプロセス技術と改良型オンチップ電力変換回路を活用し、電力効率を向上しています。周囲温度が125℃に達することもある過酷な環境において250MHz機器を使用する場合でも、優れた低消費電力性能を提供します。さらに、幅広い産業機器および医療機器に対応するネイティブ・ハードウェア機能により、安全度水準(SIL)に対応しているため、適切なSILへの準拠が求められる製品にも最適です。

STM32H5シリーズは、空調システム、生活家電、警報システム、産業用プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)、モータ制御、産業用ポンプ、通信ゲートウェイ、照明制御、エネルギー変換などに最適です。また、PC周辺機器、スマートフォン、アクセサリなどのコンスーマ機器にも適しています。

技術情報
STM32H5シリーズで実現した大幅な性能向上とセキュリティ強化を達成するため、STは高く評価されているテクノロジー企業と協力してきました。STは、Arm社の主要開発パートナーとして、PSA Certifiedレベル3およびGlobalPlatform SESIP3セキュリティ仕様に準拠したCortex-M33コアの開発をサポートしてきました。また、ミドルウェアの強力なセキュリティにおいてMicrosoft Azureとも協力しています。

ProvenRun社とともに開発されたSTM32Trust TEE Secure Managerは、ProvenCore-Mを利用することで最高クラスのセキュリティ保証レベルを実現しています。提供されるSoCセキュリティ・サービスには、ソフトウェアIPの隔離、暗号化、キー・ストレージ、および初期認証が含まれています。STは、ユーザがSTM32H5シリーズの性能を最大限に活用できるよう、専用の開発キットNUCLEO-H503RB(約15ドル)、NUCLEO-H563ZI(約29ドル)、STM32H573I-DK(約99ドル)も提供します。セキュリティ・サービスの使用法を示すサンプルが付属しており、STM32Cube開発エコシステムに含まれるすべての必要なソフトウェア・ツールおよびサポートが統合されています。

STM32H5シリーズは、各種クラウドおよびOEMサーバへのシームレスな登録、マルチテナントIP保護、リモートで事前統合されたサードパーティ製の公開鍵基盤(PKI)のライフサイクル管理に対応するため、ST自社工場における事前プロビジョニング認証を提供しています。

また、STの認定パートナー企業であるKudelski IoT社のRoot of Trust(RoT)「Kudelski IoT keySTREAM™」がSTM32Trust TEE Secure Managerで事前に動作検証されているため、リモート認証情報ライフサイクル管理サービスを利用できます。

STM32H5シリーズの動作時電力効率は、改善された電力変換回路により、スイッチング電源(SMPS)で61µA/MHz、リニア(LDO)コンバータ(VDD = 3.3V、25°C)のペリフェラルをオフにした動作モードで120µA/MHzまで向上されています。その他のSTM32マイコンと同様に、STの先進的なペリフェラルは効率を最大化するように設計されており、精密なパワー・マネージメント機能により、あらゆる動作モードで性能と消費電力のバランスを最適化することができます。

STM32H5シリーズとして最初に提供される製品には、4つの製品ラインが含まれています。128KB Flashを搭載した「STM32H503」は、スペースおよびコスト制約のあるアプリケーションにおいて250MHzの演算処理が可能です。また、「STM32H562」および「STM32H563」は、最大2MB Flashと豊富な通信インタフェースを備えており、125°Cまでの広い温度範囲にわたって250MHz動作を実現します。「STM32H573」は、AES暗号化アクセラレーションおよびセキュリティ・サービスを搭載しています。

STM32H503マイコン(128KB Flash搭載)は、UFQFPN32パッケージで提供され、10,000個購入時の参考価格は約1.44ドルです。2MB Flash搭載製品の参考価格は約2.93ドルです。STM32H503およびSTM32H563は現在量産中で、その他の製品およびパッケージ・オプションは2023年6月に提供が開始される予定です。

詳細については、ウェブサイトをご覧ください。

*STM32は、STMicroelectronics International NVもしくはEUおよび / またはその他の地域における関連会社の登録商標および / または未登録商標です。STM32は、米国特許商標庁に登録されています。

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