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STマイクロエレクトロニクス、世界初のマイコン用エッジAI開発者向けクラウド・サービスを発表
・エッジAIモデルをSTM32マイコン搭載開発ボードに実装したベンチマーク・テストなど、 各種オンライン・サービスを提供
2023年1月30日
多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーの
STマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、組込みAI開発者やデータ・サイエンティスト向けソリューションの継続的な拡充の一環として「STM32Cube.AI Developer Cloud」を発表しました。STM32Cube.AI Developer Cloudは、業界をリードする汎用32bitマイクロコントローラ(マイコン)「STM32ファミリ」向けに構築された幅広いオンライン開発ツール・セットを提供する、業界初の開発者向けクラウド・サービスです。ハードウェア / ソフトウェアに関する意思決定をサポートし、エッジAI技術のより迅速かつシンプルな市場投入に貢献します。
STの汎用マイクロコントローラ・サブグループ エグゼクティブ・バイスプレジデントであるRicardo De Sa Earpは、次のようにコメントしています。「STは、組込み開発者やデータ・サイエンティストが直面する課題を解決する上で、最適なハードウェア、ソフトウェア、およびサービスを提供し、エッジAIアプリケーション開発の加速や簡略化を目指しています。STM32Cube.AI Developer Cloudは、STの組込みAI開発ツールSTM32Cube.AIと連動する世界初のマイコンAI開発者向けクラウド・サービスです。エッジAIモデルをSTM32マイコンに実装したベンチマーク・テストをクラウド経由でリモート実行できるため、開発工数やコストの削減に貢献します。」
従来提供されているデスクトップ・アプリケーション「STM32Cube.AI」には、エッジAIベースのシステムに対するニーズの高まりに応えるため、開発者が学習済みのニューラル・ネットワークからSTM32に最適化されたAIライブラリを検証・生成するためのリソースが含まれています。STM32Cube.AI Developer Cloudは、STM32Cube.AIを補完する次のような業界初の機能を提供します。
- ソフトウェアの事前インストールが不要のSTM32マイコンに最適化されたCコード・ベースのAIモデルを生成するオンライン・インタフェース。データ・サイエンティストや開発者は、AIの実績あるニューラル・ネットワーク最適化性能をエッジAIプロジェクトの開発に活用できます。
- アプリケーション開発を加速させる学習可能なディープラーニング・モデルおよびデモ・リポジトリ「STM32 Model zoo」へのアクセス。アクティビティ認識 / トラッキング用のヒューマン・モーション・センシングや、画像分類 / 物体検出用のコンピュータ・ビジョン、音による周囲環境分類用のオーディオ・イベント検出などのユース・ケースが提供されています。GitHubでホストされているため、STM32マイコンに最適化されたスタートアップ・パッケージの自動生成が可能です。
- エッジAIニューラル・ネットワークをSTM32マイコン搭載開発ボードに実装したベンチマーキング向けの世界初のオンライン・サービス。ベンチマーク・ボード・ファームは、定期的に拡充されるため、幅広いSTM32開発ボードに対応し、データ・サイエンティストや開発者が最適化したモデルの実際の性能をリモートで測定することができます。
STM32Cube.AI Developer Cloud (https://stm32ai-cs.st.com)は現在、MySTアカウント登録済みのユーザに無償で公開されています。
また、既に複数の組込み開発企業によって、STM32Cube.AI Developer Cloudを使用したテストおよび評価が行われています。
Zebra Technologies社の研究開発部門 上級技術スタッフであるToly Kotlarsky氏は、次のようにコメントしています。「私たちは、これまでSTM32Cube.AIを使用し、低コスト・マイコンで動作する高性能AIアプリケーションを実装することで大きな成功を収めてきました。今回、新たにオンライン・インタフェースが提供されることで、さらに進化することを嬉しく思います。これにより、開発プロセスのより早い段階でAIモデルの性能を評価し、適切なハードウェア・アーキテクチャを選択することが可能となるため、より迅速にAIアプリケーション開発に注力できるようになるでしょう。全体として、STのAIチームが提供するサービスやサポートに非常に満足しています。」
Schneider Electric社のAI予測および戦略担当バイスプレジデントであるDidier PELLEGRIN氏は、次のようにコメントしています。「STM32 Model zooや、STM32Cube.AIオンライン・インタフェース、リモート・ベンチマーキング機能により、さまざまなハードウェア知識を持つ当社のデータ・サイエンティストたちが、当社製品に搭載されたマイコンへのAIモデルの組込み可能性を簡単に評価することができます。また、数回クリックするだけで複数のSTM32マイコンでモデルをテストできるため、設計プロセスの早い段階で組込みAIを検討し、高度な機能の設計に活用することが可能になりました。」
Husqvarna Group AI Labs社のAIアイディエーション & リサーチ担当ディレクターであるJohan A. Simonsson氏は、次のようにコメントしています。「STM32Cube.AI Developer Cloudは、データ・サイエンティストや組込み開発者が組込みニューラル・ネットワークに関するコラボレーションや知識の共有を簡単に行う方法を提供し、開発プロセスの合理化に貢献しています。また、データ・サイエンティストがベンチマーキング機能を使って、作成したモデルがマイコン上でスムーズに動作することを確認することもできます。これにより、競争力を維持しつつ、お客様に最高のソリューションを提供することができます。」
Somfy社のマイクロコントローラ & デジタル・コンポーネント・エキスパート・エンジニアであるSerge Robin氏は、次のようにコメントしています。「STM32Cube.AI Developer Cloudにより、組込みAIを活用した製品開発アプローチの有効性をきわめて迅速に確認することができます。幅広いベンチマーク・ボード・ファームにより、マイコン上でのモデルの動作を確認できるだけでなく、異なるSTM32ボードでリモート・ベンチマークを実行することで、最適なSTM32マイコンを選択することもできます。STM32Cube.AI Developer Cloudはきわめて歓迎すべきことで、今後より革新的な製品の開発に貢献してくれるでしょう。」
Lacroix社の研究開発担当エグゼクティブ・バイスプレジデントであるStephane Henry氏は、次のようにコメントしています。「STM32 Model zooを使用することで、STM32マイコン用の学習済みAIモデルに簡単にアクセスして新しいプロジェクトに統合できるため、時間のかかるトレーニングや実験を削減することができます。またこれにより、機械学習のワークフローを大幅に簡略化し、市場投入までの時間を大幅に短縮可能です。」
SIANA Systems社のCEOであるSylvain Bernard氏は、次のようにコメントしています。「STM32Cube.AIはリリース当初から使用しており、そのCLIを開発パイプラインに統合してきました。最新のクラウド・ベースのREST APIおよびPythonラッパー / モジュールは、CI/CDツール群のメンテナンスの複雑さを大きく軽減してくれるでしょう。この新しいサービスは、きわめて魅力的なSTM32 Model zooと組み合わせることで、開発期間の短縮に貢献するとともに、開発者を強くサポートするでしょう。」