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IoT向けに超低消費電力でセキュリティに優れた新しいSTM32L5マイコンを発表
・Arm TrustZoneに基づく独自のセキュリティによりPSA Certifiedレベル2の認証を取得 ・セキュア・ブート、セキュリティ向けハードウェア・アイソレーション、暗号化アクセラレータに対応 ・消費電力重視のアプリケーションに適したクラス最高のパワー・マネージメント実現
2020年2月13日
多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーの
STマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、IoT端末向けにセキュリティ機能を強化した、超低消費電力マイクロコントローラ(マイコン)STM32L5x2を発表しました。
STM32L5シリーズ(最大動作周波数 110MHz)は、Arm® TrustZone®によるハードウェア・ベースのセキュリティを実装したArm® Cortex®-M33(32bitRISC)を搭載しています。デスクトップPCやモバイル機器、通信インフラなどに向けて考案されたトラステッド・コンピューティングにより、デバイスやソフトウェアへの不正アクセスを防止するサイバー保護や機密コード(暗号技術およびキー・ストレージ)を実行する保護された環境を構築し、ネットワークに接続された機器を認証します。また、分離された実行環境により、信頼できないコードを実行することも可能です。
このような基本機能に加え、各I/Oポート、ペリフェラル、FlashメモリおよびSRAM領域をTrustZoneの保護対象に含めるかを柔軟に設定できるため、機密性の高い処理を完全に分離してセキュリティを最大限に高めることができます。また、セキュア・ブートをより安全に実行するTrustZone、内蔵のSRAM / Flashメモリの新たな読出し保護機能と書込み保護機能、AES(128/256bit)ハードウェア・アクセラレータや公開鍵アクセラレータ(PKA)、および外部メモリ内のコード / データ保護を可能にするOn-The-FlyによるAES-128復号機能(OTFDEC)などを含む暗号化アクセラレータを搭載しています。さらに、アクティブ・タンパ検出およびセキュアなファームウェア・インストールにも対応しています。このように強化されたセキュリティ機能により、STM32L5はPSA Certifiedレベル2の認証を取得しています。
Arm社のAutomotive & IoT Line of Businessシニア・ディレクターであるThomas Ensergueix氏は、次のようにコメントしています。「IoT端末や組込み機器の高性能・高機能化に伴い、徹底したセキュリティ機能の搭載が求められています。STM32L5シリーズは、Arm Cortex-M33をベースとするPSA Certified認定機器の開発を簡略化し、コンスーマ機器から産業用機器まで、幅広いアプリケーションに堅牢かつセキュアな基盤を提供します。」
これらの保護機能や設計の柔軟性に加えて、動的電圧スケーリング、リアルタイム・アクセラレーション、パワー・ゲーティング、複数の低消費電力動作モードといったST独自の超低消費電力技術を組み合わせることにより、コイン電池やエナジー・ハーベスト(環境発電)で駆動する機器でも高性能化と長時間駆動が可能となります。また、VDD電圧が十分に確保されている場合には、高効率の降圧スイッチング・レギュレータにより、動的に供給電力を変化させて消費電力を抑えることができます。EEMBCによって開発された実動作のベンチマークに基づく超低消費電力性能の測定方法であるULPMarkでは、電源電圧1.8Vで370ULPMark-CoreProfileおよび54ULPMark-PeripheralProfileという優れたスコアを記録しています。
STのマイクロコントローラ事業部ジェネラル・マネージャであるRicardo De Sa Earpは、次のようにコメントしています。「マイコン市場におけるリーダーとしてSmart City、Smart Building、Smart Industryといった分野に戦略的に注力しているSTは、重要性の高いアプリケーションや端末上での処理において、世界クラスの超低消費電力、業界をリードするセキュリティ、およびデータ保護機能を特徴とするマイコンの重要性を認識しています。STM32L5x2には、STの超低消費電力設計とプロセッシング技術における専門性が活用されているだけでなく、Arm TrustZoneによる強固な基盤とSTM32の優れた開発エコシステムに当社のセキュリティおよびデータ保護機能が追加されています。メータ、人間や機械の状態モニタ、モバイルPOS端末など、信頼性とセキュリティが要求されるインダストリアルIoTアプリケーションに最適な製品です。」
STM32L5x2に搭載された512KBのデュアル・バンクFlashメモリは、デバイス管理を簡略化する書込み中の命令実行が可能です。また、診断機能を持つエラー訂正符号(ECC)のサポートにより、高い安全性を実現しています。そのほか、256KBの内蔵SRAMに加え、高速インタフェース(Single / Dual / Quad / Octal SPI、Hyperbus)を持った外付けFlashメモリ / SRAM、およびパラレル・インタフェースを持ったSRAM、PSRAM、NOR、NANDまたはFRAMに対応しています。
STM32L5x2のデジタル・ペリフェラルには、専用電源を備えたUSB Full Speedが含まれており、システムが1.8Vで駆動しているときでもUSB通信を行うことができます。また、USB Type-C® Rev.1.2規格とUSB Power Delivery Rev.3.0規格に準拠するUCPDコントローラも搭載しています。スマートなアナログ・ペリフェラルには、最先端のA/Dコンバータ(1ユニット)、パワー・ゲーティングされたD/Aコンバータ(2ch)、超低消費電力コンパレータ(2ch)、外部または内部フォロア回路とプログラマブル・ゲイン・オペアンプ(PGA)を備えたオペアンプ(2ch)などが含まれています。
業界をリードするSTM32ファミリのSTM32L5シリーズは、STM32開発エコシステムを完全に活用できるだけでなく、必要な機能を網羅した専用ソフトウェア・パッケージのSTM32CubeL5も提供されます。STM32CubeL5は、ハードウェア抽象化レイヤおよびローレベル・ドライバ、FreeRTOS、Trusted Firmware-M(TF-M)、セキュア・ブート-セキュア・ファームウェア・アップデート(SBSFU)、USB-PDデバイス・ドライバ、MbedTLSおよびMbedCrypto、FatFSファイル・システム、タッチ・センサ用ドライバなどを備えており、STM32L552E-EV評価ボード、STM32L562E-DKディスカバリ・キット、およびNUCLEO-L552ZE-Qで動作する300以上のサンプル・プロジェクトが含まれています。これらのサンプル・プロジェクトは、Arm Keil®開発ツール、IARまたはSTM32CubeIDEツールチェーンでコンパイルでき、STM32CubeMX設定ファイルが付属しているため、簡単にカスタマイズやコードの更新ができます。
STM32L5x2は現在量産中で、単価は大量購入時に約2.60ドルです。コンスーマ機器などに最適な標準グレード品(-40°C~+85°C)と、過酷な環境下での使用に対応する高温グレード品(-40°C~+125°C)が用意されています。
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