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安全性が重視される用途向けに無償の機能安全設計パッケージを発表
・業界初の無償の機能安全設計パッケージにより、開発の簡略化および安全規格IEC 61508の認証取得コストを削減 ・STM32ベースのシステムがIEC 61508の安全度水準レベルSIL3への適合に必要なすべてを、セーフティ・ドキュメントと、認証取得済みソフトウェア・セルフテスト・ライブラリ(STL)であるX-CUBE-STLとして提供 ・STM32F0シリーズ用パッケージのリリースに続き、その他のSTM32マイコンへの適用を予定
2018年5月16日
多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーの
STマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、より安全性の高いシステム設計の迅速化・低コスト化に貢献する新しいSTM32マイクロコントローラ(マイコン)用パッケージを発表しました。
産業機器の制御をはじめ、ロボット、センサ、医療、交通機関といった分野では、機能安全規格であるIEC 61508の安全度水準レベル(Safety Integrity Level:SIL) SIL2またはSIL3の認証取得が必要とされています。STM32マイコン向けの機能安全設計パッケージは、このような分野の設計者向けに開発されており、システム開発と認証取得の簡略化に役立ちます。
マイクロコントローラ事業部マーケティング・ディレクターであるDaniel Colonnaは、次のようにコメントしています。「当社の顧客が安全規格に準拠した新たな機器を迅速かつ効率的に開発できるように、私たちは、認証取得済みソフトウェアを含む付加価値の高い包括的なパッケージを開発し、業界で初めて無償提供します。さらに、この機能安全設計ソフトウェア・パッケージをSTM32マイコン全体に対応させていくことで、開発者にさらなる柔軟性を提供するとともに、部品点数の最適化に貢献します。」
機能安全設計パッケージは、ドキュメントと、IEC 61508 SIL3の認証取得済みソフトウェア・セルフテスト・ライブラリである「X-CUBE-STL」で構成されています。最初のパッケージはSTM32F0シリーズ向けに提供され、その他のすべてのSTM32マイコンに対しても、2018年から2019年にかけて順次対応していく予定です。現在、800品種を超えるSTM32ファミリは、価格・性能・機能を最適化できる独自の柔軟性を開発者に提供しています。
国際規格に基づき機能安全の認証を行う主要な国際認証機関であるTÜV Rheinland社は、機能安全規格IEC 61508:2010に基づく、STM32F0シリーズ向けX-CUBE-STL-F0を高く評価しています。この認証の詳細については、まもなくwww.fs-products.comで公開される予定です。
スイスを拠点とするセンサ・メーカーであるContrinex社は、STの機能安全設計パッケージを使用して、安全性の認証を取得する最初の企業になります。Contrinex社の組込みソフトウェア開発プロジェクト・リーダーであるNicolas Jouanne氏は、次のようにコメントしています。「堅牢で実績のあるSTのマイコンと機能安全設計パッケージの組み合わせは、当社のセーフティ製品の開発において最適な選択肢です。」
STM32F0マイコン用の機能安全設計パッケージは、機密保持契約(NDA)を締結後、www.st.comから無償で入手が可能です。また、その他のSTM32マイコン向けのパッケージについても、2018年から2019年にかけて追加される予定です。
注記
STの機能安全設計パッケージには、STM32マイコンを使用した組込みシステム開発において、IEC 61508に適合するために必要なドキュメントがすべて含まれています。このドキュメントは、安全要件あるいは使用条件を詳述したセーフティ・マニュアルに加え、実装ガイドラインで構成されており、IEC 61508 SIL2またはSIL3の認証取得をサポートします。また、このパッケージにはFMEA(故障モード影響解析)と、FMEDA(故障モード影響診断解析)も含まれます。FMEAには、マイコンの故障モードと、その影響を軽減する方法の詳細なリストが含まれており、FMEDAには、マイコンと基本機能の双方について詳細に算出した故障率を示すリストが記載されています。
ソフトウェア・セルフテスト・ライブラリ「X-CUBE-STL」は、CPU、SRAM、およびFlashメモリで構成されたSTM32のセーフティ・クリティカルなコア・コンポーネントにおけるハードウェアのランダム故障を検出するソフトウェア・ベースの診断スイートです。自己診断率(Diagnostic coverage: DC)は、ST独自の最新手法である故障注入手法によって検証されています。またSTM32Cubeのワークフローに統合されているため、あらゆるユーザ・アプリケーションに使用することができ、コンパイラに依存しないオブジェクト・コードとして提供されます。
STM32F0シリーズ向けソフトウェア・セルフテスト・ライブラリ「X-CUBE-STL-F0」は、機能安全規格のIEC 61508:2010に基づき、TÜV Rheinland社に高く評価されており、ソフトウェアの系統的耐性(SC3)を満たしていることが検証されています。さらに、自己診断率も同機関によって検証済みのため、X-CUBE-STL-F0はSIL2(HFT=0)およびSIL3(HFT=1)のアプリケーションに最適です。
TÜV Rheinland社について
TÜV Rheinland社は、国際規格に基づき機能安全の認証を行う世界有数の認証機関です。
Contrinex社について
Contrinex社は、磁気誘導型センサ、光電センサ、RFIDシステムおよびセーフティ・ライト・カーテンの世界的メーカーです。また、過酷な動作条件やスペースの制約が非常に厳しい環境を含む、FA向けインテリジェント・センサおよびIDソリューション分野におけるテクノロジー・リーダーです。Contrinex社は、Industry 4.0向け位置センサに関しても主導的地位を確立しています。