Press

STM32H7マイコンが、ネットワーク接続機器の保護を強化するArm社のPlatform Security Architectureに対応

・IoT機器向けセキュリティ強化のため、Arm社がPlatform Security Architecture(PSA)を発表 ・PSAと融合したArm® Cortex®-M7搭載のSTM32H7シリーズが、より強固なセキュリティ機能とサービスを実現

2017年11月13日

多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーで、IoT機器向けArmプロセッサ搭載32bitマイクロコントローラ(マイコン)の主要サプライヤであるSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、IoT機器において、非常に強固なIoTセキュリティを実現するArm社のPlatform Security Architecture(PSA)を採用することを発表しました。STの32bitマイコンであるSTM32H7シリーズとPSAは同じセキュリティコンセプト設計されており、この2つを融合することで、より強固なセキュリティ機能とサービスを実現できます。

私たちは、時間管理、健康管理、社会的交流活動、サービスの利用・提供、生産性向上などのさまざまなシーンで、これまで以上にネットワーク接続機器に依存するようになっています。このため、ネットワーク接続機器への不正アクセス防止は、識別情報、個人情報、資産、および知的財産の保護に不可欠です。IoT機器の普及に伴い、自治体や国家機関もセキュリティ脅威にさらされています。新しく生み出されるハッキング攻撃を抑えるための技術革新を常に要求される機器メーカーは、PSAにより、リソースに制約がある小型機器に最新のセキュリティを低コストで実装することができます。

STのマイクロコントローラ事業部ジェネラル・マネージャであるMichel Buffaは、次のようにコメントしています。「IoTの普及には、個人消費者から企業、政府機関に至るエンドユーザの信頼を獲得することが不可欠であり、セキュリティはIoTを成功に導くための最優先事項の1つです。Arm社のPSAは、小型の自律型IoT機器がデバイスの識別を行うための重要なセキュリティ機能や、OTA(無線ネットワーク経由の通信)によるアップデートなどの低コスト化と拡張性の向上を実現します。当社は、この技術と既存のSTM32のセキュリティ機能を、高性能マイコンのSTM32H7シリーズに統合しました。」

STM32H7は、真乱数発生器(True Random-Number Generator:TRNG)や最先端の専用暗号化プロセッサといったハードウェア・ベースのセキュリティ機能を搭載しています。そのため、サイバー攻撃(情報漏洩、なりすまし、中間者攻撃など)から、組込みシステムおよびIoT機器を容易に保護できます。さらに、セキュアなファームウェア書込み機能を搭載しているため、機器メーカーは、遠隔地にある受託生産企業やプログラミング会社などからでも、製品を安全かつ確実にプログラミングすることができます。このセキュアな書込みを可能にするために、セキュリティ・キーとソフトウェア・サービスが既に用意されており、ユーザは、暗号化済みのファームウェアを、コードの傍受、コピー、改ざんなどができない状態で製造パートナーに提供できます。これにより、機器の使用期間にわたって、エンド・ユーザのネットワークに接続する際や、OTAでの遠隔アップデートによるセキュリティ・パッチで機能をアップグレードする際に必要となるRoot of Trustメカニズムが確立し、機器のプログラミングと認証が可能になります。

Arm社のバイス・プレジデント 兼IoTデバイスIP部門のジェネラル・マネージャであるPaul Williamson氏は、次のようにコメントしています。「当社は次世代の無数のIoTデバイスを保護するための共通インダストリー・フレームワークとしてPSAを導入し、セキュリティの経済(Economics of security)を変化させていきます。ハードウェアによるセキュリティ・ブロックとセキュアなファームウェア書込みサービスを持ったSTM32H7シリーズが、ArmのPSAフレームワークを活用することにより、通信ゲートウェイやネットワーク接続機器など、広範なアプリケーション向けセキュリティの継続的なイノベーションが可能となります。」

注記
PSA対応製品であるSTM32H7シリーズのSTM32H753は、Arm社のCortex-Mプロセッサの中で最高性能を持つCortex-M7を搭載し、内蔵Flashメモリからのコードを実行時に2020 CoreMark/856 DMIPSの性能(400MHz動作時)を実現することができます。さらに同製品には、グラフィック処理時にCPU負荷を大幅に軽減するChrom-ARTグラフィックHWアクセラレータ(TM)、高速の画像処理を可能にするハードウェアJPEGコーデック、高効率ダイレクト・メモリ・アクセス(DMA)コントローラ、同時に書込み・読込みを可能とするデュアル・バンクの内蔵Flashメモリ(最大2MB)、外部メモリアクセス時にも高速な命令実行を可能とするL1キャッシュなどが含まれています。また、複数のパワー・ドメインによりアプリケーションの消費電力を最小化できる一方、豊富なI/O、通信インターフェース、オーディオおよびアナログ・ペリフェラルを搭載しているため、エンタテインメント、遠隔監視、制御用システムなどに幅広く対応できます。

STM32H753は現在量産中で、参考サンプル価格は約8.90ドルです。詳細については、STのセールス・オフィスまたは販売代理店までお問い合わせいただくか、https://www.st.com/STM32H753 をご覧ください。