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記録的性能を実現し、IoT向けの高度なセキュリティ・サービスを付加したSTM32マイコンの最新シリーズを発表

・ARM® Cortex®-Mプロセッサの性能の新たな業界基準を確立するSTM32H7シリーズ ・超大容量メモリ、豊富な通信ペリフェラルおよびネットワーク機器向けの最先端セキュリティ

2016年10月28日

多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、あらゆる分野において、これまで以上にインテリジェントなスマート機器の実現に貢献する新しい32bitマイクロコントローラ(マイコン)STM32H7シリーズを発表しました。業界標準を塗り替える同シリーズは、STM32ファミリとしては、最大容量のSRAM(1MB)、Flashメモリ(最大2MB)、最も充実した通信ペリフェラルを内蔵しています。

この能力向上に大きな役割を果たしているのは、マイコン市場をリードするST独自の40nm製造プロセスと、進化した製品アーキテクチャです。この2つを組み合わせることで、プロセッサ性能の大幅な向上とシステム全体の超高速データ転送を、低消費電力(駆動時:280uA/MHz未満、待機時:7uA未満)で実現します。この新シリーズの最初の製品となるSTM32H743は、最大400MHzで動作するARM Cortex-M7プロセッサを搭載しています。このプロセッサはARM社が提供する最高性能のCortex-Mプロセッサで、STM32H743は、現在、Cortex-Mマイコンの中で最も高い性能を記録しています。STM32H7シリーズは、産業用ゲートウェイ、ホーム・オートメーション、通信機器、スマート・コンスーマ機器のほか、高性能モータ制御、生活家電、および豊富なユーザ・インタフェースを持つ小型機器に最適です。また、暗号化アクセラレータおよび暗号鍵ストレージのプロビジョニングといった最先端のセキュリティ機能が搭載されています。この機能は、製造段階よりネットワーク接続型機器をセキュリティの脅威から保護するため、IoTの普及に適しています。

ARM社のCPU/メデイア・プロセッシング グループ ジェネラル・マネージャであるJames McNiven氏は、次のようにコメントしています。「多様化するIoTと組込みアプリケーションには、拡張性の高いマイコンが求められています。STM32H7シリーズの高度な能力は、ハイエンドの組込みシステムのニーズをサポートすると共に、ARM Cortex-M搭載マイコンの効率や使いやすさのメリットを提供します。また、開発者は、Cortex-M7をサポートするARM mbed™ OSにより、高度なソフトウェア・スタックを簡単に利用できるため、開発期間の短縮が可能になります。」

STのマイクロコントローラ事業部ジェネラル・マネージャであるMichel Buffaは、次のようにコメントしています。「STM32H7シリーズは、業界をリードする実行性能に加え、内蔵機能の大幅な増加、次世代の組込みシステムに欠かせない消費電力の低減、さらにはセキュリティの脅威に対する高水準の保護を実現しています。とりわけ、メモリ容量が大幅に増加したことで、開発者は従来の制約から解放され、画期的なシステムをこれまで以上に短期間で開発することができます。」

技術情報
STM32H7シリーズは、先進的な40nm Flashメモリ・プロセスで製造され、400MHzで動作する業界初のARM Cortex-M7搭載マイコンです。STM32H743は、これらの重要な能力向上により、856DMIPS(1) およびEEMBC® CoreMark®(2) スコア2010という、性能の新記録を達成しました。

STは、STM32H743に40nmプロセス技術を採用し、デュアルバンクFlashメモリ(最大2MB)とSRAMを大容量化(1MB)しました。そのため、開発者は、特にハイエンドの組込みシステムの開発で課題となるリソースの制約を低減することができます。STM32H743は、Cortex-M7特有のL1キャッシュとTCMメモリにより、マイコン内外のメモリと効率的に通信します。これらの特徴は、より洗練され、豊富な機能を搭載するシステム設計を可能にするだけでなく、非常に限られたリソースの中で、特定機能を持たせるために従来必要であった開発期間の短縮に貢献します。STは、STM32H7シリーズのリリースに合わせて、STM32に搭載する次世代ペリフェラルを発表しました。STM32H743は、CAN FD、SDCARD(4.1)、SDIO(4.0)、およびMMC(5.0)などの先進的なプロトコルや規格をサポートする35におよぶ通信用ペリフェラルを搭載しています。また、低消費電力の最大14bit精度のADコンバータ(最大2Msps動作)、12bit DAコンバータ、オペアンプなど、拡張されたアナログ機能(11ユニット)のほか、400MHzで動作する高分解能タイマを含むタイマ(22ユニット)も搭載しています。

STM32H7シリーズは、性能とリソースの大幅向上に加え、低消費電力化技術であるSTM32 Dynamic EfficiencyTMを採用しており、動作時電力を従来製品であるSTM32F7シリーズの約半分まで低減しています。この電力効率の大幅な向上には、ST独自の先進的な40nmプロセス技術が役立っています。これにSTの革新的なDynamic Efficiency技術を組み合わせることで、消費電力を正確に最適化することができます。こうした最適化には、性能要求に応じて消費電力を動的に調整するDynamic Voltage Scaling、省電力モードのプロセッサを起動せずにデータを直接メモリ内に取り込むBatch-Acquisition Modeなどが含まれます。また、STは、電力管理を行うDynamic Efficiency技術に対応する複数のメモリ・ドメインを作成しています。D1、D2、およびD3ドメインがそれぞれ処理量の多いタスクおよびペリフェラル専用に設けられており、高性能のAXIバス・マトリックス(D1)、通信タスク(D2)、そして低消費電力のBatch-Acquisition Mode(D3)を通じて相互接続されます。各ドメインは個別に給電の有無を切り替えることで消費電力を最小限にできるほか、プログラム可能なイベントによって再有効化することもできます。

STM32H7シリーズは、最新のペリフェラルを導入している一方、これまでどおり、STM32F4/F7シリーズとの完全なピン配置 / ペリフェラル / ソフトウェア互換性を維持しています。この互換性により、アプリケーションの拡張や縮小、および複数プロジェクトでの設計専門性と検証済みコードの利用が大幅に簡略化されます。

設計実現化の手法については、Cortex-M7搭載のSTM32F7シリーズによってすでに確立されています。STは、STM32H7シリーズ向けに、開発ボード(評価ボード、Discovery Kit、Nucleo)および組込みソフトウェアSTM32Cubeを提供する予定で、いずれもARM mbed OSによってサポートされるため、すべての開発者が高度なソフトウェア・スタックを活用することができます。

STM32H7シリーズは、現在、6種類のパッケージ(LQFP100からTFBGA240まで)でサンプル提供中です。LQPF100パッケージ(100ピン)で提供されるSTM32H743VGT6(Flashメモリ:1MB、SRAM:1MB)の参考サンプル価格は、約8.17ドルです。

STM32H743およびSTM32H7シリーズの次の製品は、2017年第2四半期に量産が開始される予定です。

詳細については、www.st.com/stm32h7をご覧ください。

(1)DMIPS:Dhrystone Million Instructions Per Second(100万命令毎秒)。一般的なプロセッサ性能の業界標準
(2)CoreMark:Embedded Microprocessor Benchmark Consortium(EEMBC)が管理する業界標準のベンチマーク・フレームワーク