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STマイクロエレクトロニクス、低消費電力・長距離ワイヤレス通信対応SoC「STM32WL33」の提供を開始し、専用エコシステムを拡張

・広範なSTM32エコシステム内で専用ソフトウェア / ミドルウェアと開発ボードの入手が可能

2024年11月25日

STマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、最新世代のsub-GHz長距離無線、Arm® Cortex®-M0+コア、スマート・メータ機器に最適化された周辺回路、強化された省電力機能を内蔵したワイヤレスSoC(System on Chip)「STM32WL33」の提供を開始しました。同製品は、ワイヤレス・ソリューションの設計を大幅に簡略化することで開発期間を短縮すると共に、バッテリを長寿命化します。

IoTに重点を置いたこれらの新製品は、電力 / ガス / 水道用スマート・メータや、警報システム、スマート・ビルディング機器、アセット・トラッキング、近接検知での使用に適しています。最先端のスマート・ユース・ケースにおける応用機器が他にも多くあり、特に、スマート・シティや、スマート農業(土壌状態や動物保護の報告など)、森林火災検出、水道メータ、漏れ検出でのモニタリングおよび制御に最適です。

新製品の設計において、フレキシブルな選択肢や、超低消費電力アーキテクチャ、クラス最高の無線効率などのメリットに加えて、無線通信範囲の最適化、設計の簡略化、さらにはバッテリの長寿命化という革新的な特徴もあります。

独自のアナログ流量センサ・コントローラLCSCを内蔵しており、水道メータ製品の設計の効率化と最適化が可能です。LSCS内蔵回路は従来のコイル・ベースの機械式メータと併用でき、いかなるマイコンの干渉もなく液体流量測定が可能で、適切な改ざん防止機能を備えています。LSCSのこのような特性により、安全性が確保され、水道メータ製品の統合およびコスト構造を最適化しつつ、バッテリ寿命を15年以上に延長することができます。

また、超低消費電力(4.2µA)の受信専用の広帯域無線を内蔵しており、メイン通信無線をオフにして消費電力を抑えた状態で、ウェイクアップ信号を受信することができます。この常時オンの無線はバッテリ消費量への影響がごくわずかで、適切なRFウェイクアップ信号を受信するとすぐに反応するようなスタンバイ・モードも備えています。応用機器の事例としては、スマートメータ機器のデータ読み取りや、バッテリ駆動モニタリング・ソリューションではウェイクオン・サービス機能があるため、ファームウェア・アップグレードを適用できます。また、このOOK変調されたウェイクアップ信号を発信する固定位置ビーコンタグを使うことで、例えば流通産業や倉庫産業において、アセット・トラッキングや位置情報のタグを使った便利なソリューションを実現できます。

プログラム可能なメモリや、周辺回路、セキュリティのオプションなど、幅広い機能を内蔵しているため、最小限の外部回路で機能豊富な応用機器を構築できます。256KB Flashメモリと32KB SRAMに加えて、柔軟な周辺回路(16セグメントLCDドライバや、1Mサンプル/sの12bit ADコンバータ、アナログ比較器、DAコンバータ、複数のタイマ、リアル・タイム・クロック(RTC)など)が集積されています。セキュリティ機能には、セキュア・ブートや、セキュア・ファームウェア・アップデート、128bit AES、乱数発生器(RNG)を備えています。

STM32WL33の全製品は、413MHz~479MHzまたは826MHz~958MHzのライセンス・フリー帯域で動作できます。派生製品の「STM32WL33CCV6A」は169MHz帯で動作します。

2つのプログラム可能なパワー・アンプを搭載しており、RF出力パワーを+14dBmまたは+20dBmから選択できるため、アクティブな送信時間内で電力効率をさらに最適化できます。日本、EU、韓国の電波規格に適合させる場合は、最大+14dBmのPA利用が最適ですが、北米とアジア太平洋地域では、長距離通信用に+20dBmの高出力PAも選択できます。デュアル出力を備えるSTM32WL33ワイヤレス・マイコンは、世界各地で使用でき、世界中のトラッキング機器向けにローミング機能を提供します。

幅広い設定が可能な無線機能は複数のプロトコルと変調方式をサポートしており、最大600kbit/sの4(G)FSKや、2(G)FSK、(G)MSK、DBPSK、DSSS、ASKを柔軟に選択できます。プログラム可能な自律型ステート・マシンであるRadio Sequencerは、一般的な無線動作(周波数ホッピングや、低デューティ・サイクル動作、LBT、RX(受信)スニフモード、自動確認応答など)を自動化することで、マイコンによる介入を減らし無線通信の効率を高めます。

受信感度は-132dBm @ 300bit/s 433 MHz OOK、そして-128dBm @300bit/s 868MHz 2(G)FSKを達成し、堅牢な長距離通信が可能です。+20dBmの送信出力と-128dBmの受信感度(@868MHz、300bps GFSK)により、1Kmを超えるリンク・バジェットを達成できます。

カスタム変調方式への対応や受信感度のさらなる向上が可能なIQインタフェースも備えており、さらにGNURadioなどのツールを使用して信号処理を行いプロトコル・ライブラリの最適化の前処理をすることができます。サポートされる標準プロトコルには、完全にカスタマイズ可能な独自仕様オプションに加えて、wM-Bus、Mioty、Wize、Sigfox、6LowPAN、Wi-SUN Home-Area-Networking(HAN)があります。

このワイヤレスSoCにSTのMEMSモーション・センサと環境センサをシームレスに組み合わせることで、ML / AIアルゴリズムとST提供のツールセットを活用できます。これにより、位置およびコンテキスト認識が求められる応用機器や、産業用 / スマート・シティ / 農業機械におけるバッテリ駆動のリモート・モニタリングやワイヤレス・センサの開発が容易になります。

オールインワンのシステム・オン・チップ(SoC)であるSTM32WL33シリーズを使用した開発では、広範なSTM32開発エコシステムを利用できます。今回、同シリーズ専用のSTM32CubeWL3ソフトウェアおよびミドルウェア、NUCLEO-WL33CC1ボード(868/915MHz開発向け)、NUCLEO-WL33CC2(433MHz向け)が追加されました。さらに、STM32WL33マイコン専用の整合フィルタ(MLPF-WL-01D3 / 02D3 / 04D3)が提供されています。これらのフィルタはSTの集積型受動デバイス(IPD)技術を利用して構築されており、シンプルな小型ソリューションによってRF性能を最適化します。また、リファレンス設計(STDES-WL3xxxx)が研究開発とRF設計を簡略化すると共に、新製品の開発期間をさらに短縮します。認証取得済みのこのリファレンス設計は、STM32WL3シリーズ向けに微調整されており、周波数帯域、RFパワー、マイコン・パッケージ、2層または4層基板など、複数のオプションに対応しています。

GUIベースのツールセットWireless Studio Environment(STM32CubeWiSE)は、すぐに習得でき、追加設定なくスムーズに初期設定を行うことができます。このツールセットには、RFプロトコル自動化のためのコード生成ツールWiSE-RadioCodeGenと、専用のWL33 Radio Sequencer、WiSE-RadioExplorerが含まれています。WiSE-RadioExplorerにより、最先端の無線機能を最大限に活用し、RFテストおよび認証プロセスを円滑に進めることができます。

STM32WL33K8V6はQFN32パッケージで提供され、大量購入時の参考価格は約2.03ドルです。開発ボードである「NUCLEO-WL33CC1」および「NUCLEO-WL33CC2」はSTのeStoreまたは販売代理店から入手可能で、価格は約50.00ドルです。

詳細については、ウェブサイトをご覧ください。

リファレンス設計の詳細については、こちらをご覧ください。

* STM32は、STMicroelectronics International NVもしくはEUおよび / またはその他の地域における関連会社の登録商標および / または未登録商標です。STM32は米国特許商標庁に登録されています。

STマイクロエレクトロニクスについて
STは、50,000名以上の従業員を擁し、包括的なサプライ・チェーンと最先端の製造設備を有する世界的な総合半導体メーカーです。約20万社を超えるお客様や数千社のパートナー企業と協力しながら、お客様のビジネス創出や持続可能な社会をサポートする半導体ソリューションの開発ならびにエコシステムの構築に取り組んでいます。STのテクノロジーは、スマート・モビリティ、電力エネルギー管理の効率化、クラウド接続型自律デバイスの普及を可能にします。STは、2027年までのカーボン・ニュートラル(スコープ1、2、および3の一部)の実現を目標にしています。
さらに詳しい情報はSTのウェブサイト( http://www.st.com )をご覧ください。