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STマイクロエレクトロニクス、産業機器・医療機器・スマート家電向けの新しいワイヤレス充電評価ボードを発表

・ST Super Chargeプロトコルによって高速充電を簡略化する 50Wのトランスミッタ / レシーバ評価ボード

2024年5月23日

STマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、50WのQi準拠ワイヤレス充電トランスミッタ評価ボード「STEVAL-WBC2TX50」およびレシーバ評価ボード「STEVAL-WLC98RX」を発表しました。これらの製品は、医療機器、産業機器、生活家電、およびコンピュータ周辺機器などの大電力アプリケーションにおいて、ワイヤレス充電機能の開発期間短縮に貢献します。

STの新しいワイヤレス充電ソリューションにより、大電力や短時間での充電が求められるアプリケーションにおいて、高速かつ利便性に優れたワイヤレス充電技術を活用することができます。掃除機、コードレス電動工具、ドローン、携帯型ロボット、医薬品デリバリー機器、携帯型の超音波システム、舞台照明、携帯用ライト、プリンタ、スキャナなど、幅広いアプリケーションに最適です。ケーブルやコネクタ、それらの接続や配置の煩雑さがなくなるため、製品開発の簡略化やコスト削減、堅牢性の向上に貢献します。

トランスミッタ評価ボード「STEVAL-WBC2TX50」は、ST Super Charge(STSC)プロトコルを使用して最大50Wの電力を無線供給できます。STSCは、ST独自のワイヤレス充電プロトコルで、スマートフォンなどで使用されている標準的なプロトコルよりも高速なため、大容量バッテリの急速充電が可能です。STEVAL-WBC2TX50は、Qi 1.3準拠の5W BPP(Baseline Power Profile)および15W EPP(Extended Power Profile)をサポートしています。同ボードには、主要コンポーネントとしてSTのトランスミッタSiP(システム・イン・パッケージ)「STWBC2-HP」が搭載されており、Arm® Cortex®-M0+コア搭載STM32G071マイクロコントローラおよびアプリケーション専用のフロント・エンドを集積しています。このフロント・エンドは、信号処理、周波数制御、およびトランスミッタを駆動する高分解能のPWM(パルス幅変調)ジェネレータを備え、4.1V~24VのDC電圧範囲で動作します。また、MOSFET用ゲート・ドライバとUSB Power Delivery用のD+/D-インタフェースも搭載されています。さらに、STWBC2-HPは、STのセキュア・エレメント「STSAFE-A110」と組み合わせて動作させることで、Qiの認証取得が可能です。

レシーバ評価ボード「STEVAL-WLC98RX」は、最大50Wの充電に対応し、STSCの急速充電とBPPおよびEPP充電を安全に処理できます。適応型整流設定(ARC)モードにも対応しているため、充電距離を最大50%延長でき、低コストのコイルや、柔軟性に優れた構成が可能です。また、高精度の電圧 / 電流測定による異物検出機能(FOD)や、熱管理機能、およびシステム保護機能も備えています。同ボードに搭載されているSTのワイヤレス電力レシーバIC「STWLC98」は、Arm® Cortex®-M3コアおよび、最大20Vの出力電圧を設定できる高効率・同期整流パワー段を内蔵しています。

また、専用ソフトウェア・ツールとして、STEVAL-WLC98RX用の「STSW-WPSTUDIO」およびSTEVAL-WBC2TX50用の「STSW-WBC2STUDIO」が提供されており、設定パラメータを変更してカスタム・アプリケーションの仕様に合わせた機器の動作調整が可能です。開発をサポートする包括的な設計用ドキュメントも提供されています。

STEVAL-WBC2TX50およびSTEVAL-WLC98RXには、EUの無線機器指令(RED)への適合宣言書が付属しています。両製品ともに、STのウェブサイトまたは販売代理店から入手可能です。STEVAL-WLC98RXの単価は約113.93ドル、STEVAL-WBC2TX50の単価は約109.03ドルです。

詳細については、ウェブサイトをご覧ください。