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STマイクロエレクトロニクス、20nmの壁を突破した コスト競争力のある次世代マイコン向けプロセスを発表

・最新技術に基づく初のSTM32マイコンを、2024年後半から特定顧客向けにサンプル提供を開始する予定・18nm FD-SOI技術と組込み相変化メモリ(ePCM)により飛躍的な性能向上と低消費電力化を実現

2024年3月19日

多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、次世代の組込みプロセッサの実現に向けて、18nm FD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ)技術および組込み相変化メモリ(ePCM)をベースにした先進的なプロセスを発表しました。STとSamsung Foundry社が共同開発したこの新しいプロセス技術は、組込みシステムの飛躍的な性能向上と低消費電力化および、メモリの大容量化とアナログ / デジタル・ペリフェラルの高集積化に貢献します。この最新技術をベースにした初のSTM32マイクロコントローラ(マイコン)は、2024年後半に特定顧客向けにサンプル出荷が開始され、2025年後半に量産が開始される予定です。

STのマイクロコントローラ・デジタルIC・RF製品グループ 社長であるRemi El-Ouazzaneは、次のようにコメントしています。「STは、半導体業界をリードするイノベータとして、車載ならびに航空宇宙アプリケーション向けのFD-SOIおよびPCM技術を先駆けて開発し、提供してきました。STは今回、次世代のSTM32マイコンを皮切りに新たなステップへと進み、これらの技術のメリットを産業アプリケーションの開発者に提供します。」

技術メリット

18nm FD-SOIおよびePCMは、現在使用されているSTの40nm組込み不揮発性メモリ(eNVM)技術に比べて、主要な性能指数が大幅に向上しています。

  • • 電力効率 (性能対電力比)が50%以上向上
  • • 不揮発性メモリ(NVM)の実装密度が2.5倍に向上し、オンチップ・メモリの大容量化を実現
  • • AIやグラフィック・アクセラレータ、最先端のセキュリティおよび安全機能などのデジタル・ペリフェラルの集積度が
    3倍に向上
  • • RFノイズが3dB改善され、ワイヤレス・マイコンのRF特性の向上を実現
  • STのFD-SOI + PCM技術は、3V動作でD/Aコンバータ、パワー・マネージメント、リセット・システム、クロック・ソースなどのアナログ機能への電源供給が可能で、20nm以下のプロセスでこの機能を実現している唯一の技術です。また、すでに車載アプリケーションで実績のある堅牢な高温動作、放射線耐性、データ保持機能により、要求の厳しい産業アプリケーションに求められる高い信頼性も提供します。

    FD-SOIおよびPCMの詳細については、ウェブサイトをご覧ください。

    STM32マイコンを使用する開発者およびユーザへのメリット

    この技術を採用したマイコンは、革新的な高性能、低消費電力を実現します。大容量メモリは、エッジAI処理、マルチプロコトルRFスタック、OTA(Over-The-Air)アップデート、高度なセキュリティ機能に対するニーズの高まりに対応します。高性能および大容量メモリにより、現在マイクロプロセッサを使用している開発者に対して、より高集積でコスト効率に優れたマイコンというオプションを提供します。また、現在STの製品ポートフォリオが業界をけん引する超低消費電力デバイスの電力効率をさらに向上させることができます。

    この技術を採用した初のマイコンは、最先端のArm® Cortex®-Mコアを搭載し、機械学習やデジタル信号処理アプリケーションの性能向上に貢献します。高速かつ柔軟性の高い外部メモリ・インタフェースや高度なグラフィック機能を搭載するとともに、数多くのアナログ / デジタル・ペリフェラルを集積しています。さらに、すでにSTの最新マイコンに導入されている認定取得済みの高度なセキュリティ機能も備えています。