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STマイクロエレクトロニクス、 エッジAIの導入を加速して革新的な製品開発をサポート
・ エッジAI対応ST製品の産業、自動車 / モビリティ、コンスーマ、通信アプリケーションへの実装に向けた、よりシンプルでコスト・パフォーマンスに優れた方法を提供する包括的なソフトウェア & ツール統合セット「ST Edge AI Suite」を発表
・ クラウド・サービスやAIツールチェーン・プロバイダとの提携によりサポートされる、幅広いハードウェア、無償ソフトウェア、ツールを備えた包括的な開発エコシステムを提供
・ あらゆる規模の企業に向けた制約のないエッジAI導入メリットを通じて、世界的なエッジAIの普及に貢献
2023年12月6日
多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、エッジAIによる革新的な製品の実現に貢献する包括的な開発エコシステム「ST Edge AI Suite」を発表しました。ST Edge AI Suiteは、ST製品とともに無償で使用できる統合ソフトウェア・ツール・セットとして、ユーザにさらなる価値を提供します。これにより、AIを組み込んだ何十億もの接続型自律デバイスの設計および導入を迅速に開始できるようになります。ST Edge AI Suiteは、汎用 / 車載用マイクロコントローラ(マイコン)およびマイクロプロセッサ、スマート・センサといったSTの広範なハードウェアと、組込みAIに最適な関連ツールを最大限に活用することで、AIソリューション開発の簡略化に貢献します。また、機械学習(ML)フレームワークや主要パートナー企業(Nvidia、AWSなど)の既存AI開発エコシステムを活用するとともに、過去10年間に導入された複数のソフトウェア・ツール、評価キット、開発キットを拡張および統合します。
STの社長 兼 最高経営責任者(CEO)であるJean-Marc Cheryは、次のようにコメントしています。「私たちは、何百億もの接続型自律デバイスが、消費者の生活や企業の生産性のあらゆる側面を通して、ユーザに価値と利便性をもたらす世界へと向かっています。これを実現するために、AIアルゴリズムはクラウドおよびデバイス上の両方で実行される必要があり、いずれスマートフォンやコネクテッドなパーソナル電子機器、スマート・ホームやビル制御システム、産業機器、自動車など、幅広いシステムで実行されるようになります。STの製品は、すでにこれらのシステムの中核を担っていますが、今回発表する業界をリードする無償のソフトウェア・スイートと組み合わせることにより、さらなる差別化が可能になります。よりインテリジェントなエッジへの移行を可能にするST Edge AI Suiteによって、あらゆる規模の顧客がエッジAIを簡単に導入でき、コネクテッドな世界に向けたビジョンを構築できるようになります。」
2023年12月6日、オンラインで開催された「ST Edge AI Summit」において、ST Edge AI Suiteの機能が発表されました。業界をリードするSTの最新ソフトウェア・スイートにより、最適化された機械学習モデルを作成する必要がある組込みシステム開発者、組込みシステム上でモデルを実行するデータ・サイエンティスト、製品のメリットを再定義する製品設計者や開発者など、幅広いユーザに貢献します。また、無償で提供されるため、顧客の規模を問わずあらゆるコミュニティ主導のアプローチに対して、リソースおよび知識を提供することが可能です。ST Edge AI Suiteは、さまざまなエッジAIコミュニティにおいて開発ツールとユーザを統合することにより、さらなる変革を推進します。
ST Edge AI Suiteは、2024年前半に提供が開始される予定です。
エッジAIの導入メリットについて
エッジAIは、インテリジェンスと意思決定能力をデータ・ソースにより近づけており、現在のコネクテッドな世界において、企業が革新的な製品を開発するために不可欠な技術です。速度、消費電力、プライバシー、セキュリティ、コスト効率の点で多くのメリットが得られるため、企業は、現在急成長を遂げているデータ主導の世界の需要に応える、よりインテリジェントで応答性の高い効率的な製品を開発できるようになります。
STの技術を活用して製品を変革した企業の事例:
洗濯機の性能を15%~40 %向上:
現在、ある大手家電メーカーがこのソリューションを採用しており、2024年には製品が市場にリリースされる予定です。2つの機械学習アルゴリズムが使用されており、1つ目は、モータ電流の測定値に基づいて、洗濯機内の衣類の重量を正確に推定します。もう1つは、6軸モーション・センサからデータを収集して、ドラムが洗濯機の外殻に接触するかどうかを計算することで、ドラムの衝突を回避するものです。アルゴリズムの入力に応じて、モータ駆動に必要な電流を正確に制御し、必要な水および洗剤の量を適切に調整して、洗濯サイクルのエネルギーと水を15%~40 %節約します。いずれのアルゴリズムも、STの「NanoEdge AI」で開発されており、STの6軸モーション・センサおよびSTM32G0マイコン上で動作しています。
超低消費電力PCの活動モニタリング:
HP社のエンジニアリング・チームはSTと密に連携し、機器とユーザの動きに基づいてユーザのさまざまな活動を認識するAIモデルを開発しました。ノートPCをテーブルの上に置いたり、ユーザのひざの上に置いたり、バッグの中に入れて持ち運んだり、取り出したりする場合など、さまざまなユース・ケースに対応しています。HP社のPCに最適化されたAIモデルは、スマートな6軸モーション・センサに搭載されました。この例で最も特徴的な点が消費電力です。HP社のPCに搭載されたSTの6軸モーション・センサは、34µAでエッジAIアルゴリズムを実行しています。これにより、HP社製のPCは、活動モニタリングに応じた動作を実行できるだけでなく、より重要な作業のためにバッテリを節約することも可能になりました。
EVモータの駆動およびメンテナンスの最適化:
STはHPE Group社と協力して、EVのモータ駆動およびメンテナンスを最適化しています。課題は、実際に使用されている電気モータのロータの内部温度をモニタリングすることで、より効率的かつ安全に動作させるために出力電力を最適化できるようにすることでした。これは、実験室内でロータを露出させた状態においては可能ですが、車両内で実際に駆動しているモータでは不可能です。この課題に対するソリューションは、モデルをトレーニングして、エッジAIで仮想温度センサを構築し、外部温度測定値からロータの内部温度を推定することでした。このアルゴリズムは、モータを制御する車載用マイコン「Stellar」上で実行されます。Stellar上では、振動の解析を通して潜在的な異常を検知するAIアルゴリズムも実行されています。また、このアルゴリズムは、EVバッテリといったその他の重要な部品にも使用可能です。バッテリの内部温度を測定するのは現実的ではありませんが、エッジAIモデルであれば、外部測定値から内部温度をシミュレーションすることができます。
技術情報
AIに関するSTの戦略は、包括的で統合されたツール・セット(その一部は現在、すでに利用可能)、技術およびトレーニング用サンプル、ST Edge AI Core Technologyと呼ばれる組込みAIソリューションのために最適化された革新的な技術によって支えられています。ST Edge AI Suiteは、データ・サイエンティスト、組込みソフトウェア開発者、ハードウェア・システム・エンジニアなど、さまざまなユーザのニーズと要件に対応しています。きわめて使いやすく、シンプルで直感的なインタフェースを備えており、さまざまな利用形態(デスクトップ、CLI、ウェブ、API)が可能です。
• ST Edge AI Coreは、エンジニアがプロジェクトの各段階で必要とするあらゆるソフトウェアとツールを統合します。ST Edge AI Coreは、最も広く使用されているMLフレームワークからMLおよびNNアルゴリズムをインポートして詳細な分析を行い、選択した製品(センサ、マイコン、MPU)のアルゴリズムを最適化し、元のモデルに対して検証を行い、最終的には生成した組込みAIソリューションを選択した製品上にマッピングすることができます。純粋なソフトウェアの場合でも、特定のハードウェア・アクセラレータを利用している場合でも、異なるプラットフォーム上で同じAIアルゴリズムをベンチマーキングし、数クリックで精度と推論時間を評価することが可能になります。
• ST Edge AI Suiteは、AIハードウェア・アクセラレーションを搭載したSTM32N6および産業機器向けSTM32マイクロプロセッサを含むSTM32ファミリをはじめ、さまざまなST製品で動作します。その他にも、自動車の寿命延長に貢献する電動パワートレインの予知保全や、電力効率の最大化に貢献するバッテリ・マネージメント・システムなど、ソフトウェア定義型自動車への移行を進める自動車メーカーをサポートする車載用マイコン「Stellar」、インテリジェント・センサ・プロセッシング・ユニット(ISPU)、機械学習コア(MLC)内蔵センサ、高度なイメージング用のTime-of-Flight測距センサなど、産業、自動車、ウェアラブル機器やハイエンドのパーソナル電子機器まで、あらゆるアプリケーションに最適です。これらのアプリケーションはすべて、STが提供する多様な評価ボードを用いて開発することができます。
• 機械学習ライブラリ自動生成ツール「NanoEdge AI Studio」は、STM32マイコン向けに無償で提供されており、すべてのArm® Cortex®-Mベースのマイコンに対応しています。STのAutoMLツールであるNanoEdge AI Studioは世界各地のユーザのために継続的にアップグレードされています。現在、NanoEdge AI Studioで作成されたライブラリは、STM32マイコンに無制限かつ無償で導入可能です。さらに、NanoEdge AI StudioはすべてのCortex-Mベースのマイコンを対象としているため、顧客は特別なライセンス契約に基づいて、独自のオンデバイス学習を含むライブラリを、その他のCortex-Mマイコンで構築および導入することもできます。